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寺子屋とは

日本の寺子屋、ミャンマーの寺子屋

日本では江戸時代に盛んだった寺子屋。幕末期には全国で15,000校を超えていたそうです。当時、イギリスやフランスなどのヨーロッパ諸国と比べても日本の識字率が高かったのは、寺子屋が全国に普及していたからといえます。

一方、仏教が盛んなミャンマー(ビルマ)でも、王朝時代の昔から寺子屋教育が熱心に行われてきました。日本では寺子屋は昔話になってしまいましたが、ミャンマーでは今でも町の中、村の中、各地の僧院に寺子屋を見ることができます。ミャンマーでは識字率が86%(2014年度国勢調査より)と、開発途上国の中では高水準なのは、この寺子屋の伝統が生きているからといえます。

ミャンマーの教育制度

ミャンマーの教育制度は、小学校5年間(1~5年生)、中学校4年間(6~9年生)、高等学校2年間(10、11年生)で、5歳から小学校に通います。義務教育は、小学校のみです。ほとんどの学校が公立ですが、最近は私立の学校の設立も認められるようになりました。しかし、5歳で入学できない子どもが存在しているのが現状です。また、ヤンゴンのような大都市では少なくなりましたが、僧院での寺子屋式教育も行われています。
*2020年3月時点

出典:JETRO「BOP層実施調査レポート」

カリキュラム

全ての学校(公立校、寺子屋(僧院学校)、私立校)のカリキュラムは、教育省によって策定されています。教科書も同省が用意したものを使用してきました。授業は公式にはミャンマー語で行われ、暗記学習や集団音読が広く行われています。

しかし、2014年、ミャンマー政府が推進する教育改革の一環として、JICAによる「初等教育カリキュラム改訂プロジェクト(通称CREATE)」で、小学校の全学年(1~5年生)、全教科(ミャンマー語、英語、算数、理科、社会、体育、道徳・公民、ライフスキル、音楽・図工)の教科書の開発を支援してきました。そして、2017年6月1日の新学年度より、JICAの技術協力で開発された新しい1年生用教科書がミャンマー全土に導入され、2020年現在、新しい4年生用教科書まで普及していますが全ての学校には行き渡っていないのが現状です。

寺子屋(僧院学校)

寺子屋に通う子どもは、貧困家庭や両親と離れて内戦地からやってくるなど、様々な背景を抱えています。学校の制服や本、文具の費用に加えて、親はしばしば学校や学校行事のために机や椅子など他の必需品の購入費用を学校側から費用負担を迫られます。子どもが家の雑用をこなせるようになる7歳くらいの年齢になると、貧困家庭の多くが子どもに学習をさせることを断念せざるを得ない実情があり、子どもに対する教育の機会は親の所得水準や生活環境に大きく左右される状況です。そのことからも、寺子屋は家庭の事情で公立校を中途退学した生徒(10歳から14歳)にも二度目のチャンスを提供する場所としての機能も果たしています。

寺子屋は宗教省の管轄下ではありますが、授業内容は教育省の公立校と同等と見なされ、卒業証書もこれを証明するものになっていることからも、子どもたちのセーフティーネットとして大きな役割を果たしています。

寺子屋の子どもたちが来日

子どもたちの未来を応援するため、これまでにない体験をすることで将来により多くの選択肢ができることを願って、支援先の寺子屋から子どもたち10名と先生2名を日本に招聘しました。およそ2週間の滞在期間中に、杉並区立高円寺中学校で日本人中学生と異文化交流や、ミャンマー祭りの舞台でミャンマーの踊りを披露するなど、彼らの「日本人にミャンマーを知ってもらう」、「日本を知る・触れてみる・体験する」夢が叶った瞬間でもありました。

お互いの文化を敬い合い、心が行き来する姿を通して、両国の次世代が担う未来を感じていただけると幸いです。